出会った彼は
「いいよいいよ、これよく使ってるやつでしょ?」
「俺は他にもいろいろあるから大丈夫だよ。ちょっとつけてみて?」
そう言われて、サングラスと帽子を被る。
「うわ、めっちゃいい!なんか芸能人みたい!」
涼太くんは何でも褒めてくれるから困る。
でもこれなら、すっぴんの恥ずかしさも半減するかも。
そして思いのほかその格好を気に入った涼太くんは、帽子を脱ごうもんなら阻止。サングラスを外そうもんなら阻止。といった感じで、どのみち私に拒否権はなかった。
一緒に家を出て、涼太くんの車に乗り込む。
明るいから何かあった時に顔バレしないようにと、サングラスとマスクは外さないように言われた。
特に何事もなく、私の家までの道のりを涼太くんの運転する車がスイスイと走る。
家について、車を降りる。
「今日もありがとう。またね。」
「うん、また連絡するね。じゃあ、仕事行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」