出会った彼は
ベッドに入ってから物の数分だったと思う。でも、その時間が何時間にも長く感じた。
ガチャ―――
玄関の扉が開く音が聞こえて、
「おじゃまします」
と小さい声が聞こえてくる。
夜だというのに、電気もつけずに真っ暗な私の家。
手探りで電気をつけたらしく彼が目の前までくる。
「芽依ちゃん、大丈夫!?」
ベッドで横になる私を見つけて心配そうな顔をする。
「ん…。なんで…?」
「俺何回かメッセージ送ってて、忙しいのかなと思ったけど返信来ないし既読にもならないから。心配で…。」
「あ、ごめん。見てなかった。」
そんな気力はなかったし、さっきまで寝ていたし。申し訳ないと思いつつ謝ることしかできない。