出会った彼は

ベッドに入ってから物の数分だったと思う。でも、その時間が何時間にも長く感じた。


ガチャ―――

玄関の扉が開く音が聞こえて、

「おじゃまします」


と小さい声が聞こえてくる。


夜だというのに、電気もつけずに真っ暗な私の家。

手探りで電気をつけたらしく彼が目の前までくる。


「芽依ちゃん、大丈夫!?」

ベッドで横になる私を見つけて心配そうな顔をする。


「ん…。なんで…?」

「俺何回かメッセージ送ってて、忙しいのかなと思ったけど返信来ないし既読にもならないから。心配で…。」

「あ、ごめん。見てなかった。」


そんな気力はなかったし、さっきまで寝ていたし。申し訳ないと思いつつ謝ることしかできない。
< 144 / 514 >

この作品をシェア

pagetop