出会った彼は
あぁ、風邪をひいている時の自分は本当に嫌になる。
泣きたいわけではないのに、勝手に涙がポロポロと流れてくる。
「泣かないで…。」
泣いている私の頬にそっと涼太くんの指が触れて、涙を優しく拭う。
「ごめん、気にしないで。すぐ落ち着くから。」
涼太くんはギュッと私を抱きしめてくれた。
「風邪、移ったら困る。」
「俺に移して、芽依ちゃんが治るならじゃんじゃん移してくれていいよ。」
笑いながら、涼太くんが話す。
「ライブまだあるのに…。」
そうだ、ライブ。今日のライブは?ていうか今何時なんだろう。
「今日の公演はもう終わったから、次のライブまでは時間あるし移されても大丈夫だよ。」