出会った彼は

涼太くんは私を優しく抱きしめながら、落ち着くまで側にいてくれた。


「何か買ってくる。リクエストある?食べられるなら何か作るよ。」

「食欲ない…。」

「そっか、でも何か食べてお薬飲まないと。おかゆとかは?」


私の顔を覗き込んで、涼太くんが言う。


「………おかゆ嫌い。」

すると涼太くんは笑って

「おかゆ嫌いなんだ?じゃあうどんとかなら食べられそう?」


笑われた。と思いながらも涼太くんの質問にこくりと頷く。

財布と車のキーだけをもって、家を出ようとする涼太くん。


「あ、芽依ちゃん合鍵ある?寝ててもいいけど帰ってきたとき、インターホン鳴らして起こしちゃうの可哀想だし。」

「ある。玄関の棚に置いてあるやつ。使っていいよ。」

両親が遊びに来たりした時に使っているスペアキーがおいてあるので場所を教える。


「あれ、でもさっきどうやって入ってきたの?」
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