出会った彼は

私は電話の後、オートロックは開けていないので気になって聞いてみる。


「あー、あの時はたまたま人が出てきたからその隙に入ってきちゃった。」


いたずらっ子のような顔をして、涼太くんがこちらを向く。

「じゃ、行ってきます。」


キャップを深くかぶってマスクをした涼太くんが家を出る。

帰って来るまではそんなに時間がかからないだろうと思っていた。でも熱がある身体はその数十分起きていることもできなかったようで、気づけば再び眠りについていた。



どれくらい寝ていたのか、鼻をくすぐる出汁の匂いで目が覚めた。

「あ、芽依ちゃん起きた?うどんできてるけど食べる?」

「ごめん、また寝てた…。食べる…。」


うどんはとてもおいしくて、しばらく何も食べていなかった身体に染み渡る。

「おいしい」

「おかわりもあるから、食べれる分食べてね。」

器に盛ってくれたうどんを1杯食べるともうお腹いっぱい。
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