出会った彼は
家を出て、駅までの道を歩く。
気付けば肌寒くなって、もう12月。
明日からはマフラーでも出そうかなと、冷たくなった手をこすり合わせる。
美沙と久しぶりにランチをしていると、前にいた美沙がはぁっとため息を漏らす。
「どうしたの?」
いつもは元気な美沙が、今日は元気がなくて聞いてみる。
「浩介と、喧嘩しちゃって。」
「え!喧嘩?」
あんなに仲が良かった美沙と有村くんが喧嘩なんて、何があったのだろう。
「うん、だって浩介。クリスマスに出張入れちゃったんだよ…。」
あ、クリスマス。そういやもうそんな時期か。
「それはショックだね…。」
「イブも当日も出張で居ないって、仕事なのはわかるけど。初めてのクリスマスなのに…。」