出会った彼は

「私ちょっと用事できちゃったからさ、あとは2人で」

少しおせっかいかなと感じたけれど、今日の有村くんの反応を見て2人はきっと大丈夫だと思って美沙を呼んだ。


2人は少しぎこちなさそうにしているが、すぐに話し始めたのを横目に今の分のお会計を支払って店を出た。

このあとの2人が上手くいきますようにと願いながら外を歩く。


そういやこの辺りはこの間行ったバーの近くだったなと思い出して足を進める。

今日はなんだかいい気分だし、この間とは違っておいしいお酒が飲めそう。


バーの扉を開けるとまだお客さんは数人しかいない様子。

前回と同じ、カウンターの席に通される。


「この間とは雰囲気が違いますね。何かいいことでも?」

こんな数回しか来たことない人でも覚えてるのか、さすがプロ意識。と思いつつ

「はい、少しいいことがあって。おすすめの1杯いただけますか?」

「かしこまりました。」


前回と同じバーテンダーさんがニコリと笑ってお酒を作り始める。

スッと出されたカクテルは赤くて綺麗。推しのメンバーカラーか。なんて思っている私は重症だな。
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