出会った彼は

国民的アイドルの生の笑顔の破壊力はやばい…。


しかもファンサとかじゃなくって今私に向かって笑ってるのか。
いや、私に向かってじゃなくて普通に笑ってるだけか。

と、思考をぐるぐるさせていたがちょっと待って。

「いや、可愛くなんてないです。」

同じメンバーの雅くんが可愛いと言ってくれていたなんてお世辞でも嬉しくなってしまうけど、そんなのは社交辞令だと自分に言い聞かせる。

美沙みたいに綺麗だったら私も自信持てるんだけどな~なんてぼんやり考えてしまった。


「そんな遠慮しなくてもかわいいのに。」

お世辞にも推しと2人で話せて、さらに可愛いまで言われてしまうなんて。私今日命日?

「ねえ、今度一緒に飲まない?俺よくここ来るんだ。」

「へ?いや…。ファンの人と飲むのなんてやめた方がいいです。他のファンの人悲しみます。」


本当は今にも舞い上がりそうな気持を抑えて伝える。

だってもしも私が推しとファンが飲んでいたなんて知ったらそれはそれはもう、正気でいられないというか。
付き合っているか否かは関係なくて、その事実自体がショックで寝込むまである…。


「ねえ、君は何て名前?」

「七瀬 芽依です。」
< 23 / 514 >

この作品をシェア

pagetop