出会った彼は

茂みの中に、少し道が見える。


進んでみると、小さな湖があった。

静かな空間に水の音が聞こえる。


近くにあったベンチに腰掛け、水の音を聞きながらぼーっとする。


今日はいいCMが作れた気がするな。本格的な夏に向けて、あの商品が売れますように…。

少し酔いが醒めてきたところでバーベキュー場に戻ろうかと思った時


「芽依ちゃん?」

「涼太くん…。」


後ろから声を掛けられた。

まさか涼太くんに会うとは思っていなくて驚く。

「撮影、お疲れさまでした。とても良かったです。完成が楽しみです。」

「あ、ありがとう。」


お互い黙ってしまい、重たい空気が流れる。

「じゃあ、私は戻るので。ごゆっくり。」
< 456 / 514 >

この作品をシェア

pagetop