出会った彼は
そう思いながら、叶わない恋心を隠すようにお酒を飲んだ。
ぼちぼち解散になり、飲んでいた人は近くのコテージでも泊まれるとのことだった。
帰りはどうしようかと思っていると、珍しくお酒を飲んでいなかった有村くんが送ってくれるというのでお言葉に甘えることにした。
「七瀬大丈夫?酔いすぎじゃね?」
「あ~、だいじょーぶだいじょーぶ。心配はいらないっ」
車に乗って、窓を開ける。
夜風はひんやりとしていて、お酒で火照った頬を気持ちよく冷やしてくれていた。
「あのさ、1つ聞いてもいい?嫌だったらいいんだけど。」
「うん、何?」
「いや、やっぱ何でもない。」
有村くんは少し考えた後、言うのをやめた。
「え、何。逆に気になるやつ。」
「ほんとにいいの?」
「うん、いいよ。何?」
外を見ながら答える。