出会った彼は
「俺まだ芽依ちゃんが好きだよ。このままだったら一生後悔する。芽依ちゃんの気持ち、聞かせてほしい。」
真剣な顔をして、私から目を逸らさずに話してくれる涼太くん。
「私は…。涼太くんの事応援してる気持ちに変わりはない。」
「うん。」
「でも、心のどこかでは吹っ切れなくて。だから、今回もここに来て自分の気持ちにけじめをつけようと思ったの。」
「そっか。」
涼太くんは時折相槌を打ちながら、私の話を優しく聞いてくれている。
「でも、涼太くんと居た日が楽しくて。またあんな風になりたいって願わずにはいられなくて。だけど、涼太くんにこれ以上迷惑かけたくないから…。」
堪えていた涙が溢れてくる。
「だから―――」
そう言った時、ふわりと涼太くんの香りに包まれた。
抱きしめられていることに気付くにはそう時間はかからなかった。
「誰かに見られたら迷惑かかる…。」
「今はそんなこと気にしなくていい。芽依ちゃん。芽依ちゃんもまだ、俺の事好きって思っていい?」
ギュッと抱きしめられた腕の中で、私は小さく頷いた。