出会った彼は

「あ、ごめん。私もうすぐ空港に向かわないと。」

「俺も。一緒に行こ。」

「え?あ、うん。」


ホテルに荷物を取りに行き、涼太くんが呼んでくれたタクシーに乗り込む。

空港まで向かう途中、気になっていたことを聞いてみた。


「ねえ、涼太くん。荷物それだけ?」

「あー、うん。さっき着いたばっかだから。」

涼太くんの荷物はハンドバッグ1つだけ。

「さっき?ってどういう事?お仕事とかで来てたんじゃないの?」


涼太くんに聞いてみたけど、笑って話を逸らされてしまった。

タクシーの中でも、繋いだ手が離れることはなかった。


空港に着く。

「涼太くんは何時の飛行機?」

「多分芽依ちゃんと一緒じゃないかな。」

チケットを見ると、確かに同じ便だった。
< 476 / 514 >

この作品をシェア

pagetop