出会った彼は
「あ、ごめん。私もうすぐ空港に向かわないと。」
「俺も。一緒に行こ。」
「え?あ、うん。」
ホテルに荷物を取りに行き、涼太くんが呼んでくれたタクシーに乗り込む。
空港まで向かう途中、気になっていたことを聞いてみた。
「ねえ、涼太くん。荷物それだけ?」
「あー、うん。さっき着いたばっかだから。」
涼太くんの荷物はハンドバッグ1つだけ。
「さっき?ってどういう事?お仕事とかで来てたんじゃないの?」
涼太くんに聞いてみたけど、笑って話を逸らされてしまった。
タクシーの中でも、繋いだ手が離れることはなかった。
空港に着く。
「涼太くんは何時の飛行機?」
「多分芽依ちゃんと一緒じゃないかな。」
チケットを見ると、確かに同じ便だった。