出会った彼は
涼太くんが連れてきてくれた場所は、私たちが最初にデートをした時の海だった。
まだお昼過ぎなので、前とは違う景色だけど綺麗な海を2人で眺める。
「今日は話があるんだ。」
「うん、何?」
真剣な顔をした涼太くんと目が合う。
綺麗な瞳に、吸い込まれてしまいそう。
「芽依ちゃんとまた会えて、気持ちが伝わって嬉しかった。」
「うん。」
「芽依ちゃんが居ない間、ずっとずっと考えてた。どうしたら芽依ちゃんが戻ってきてくれるか。どうしたら、芽依ちゃんと俺の関係を認めてもらえたのか。でもやっぱり俺が芽依ちゃんこと好きな事には変わりなくて、もう会わないなんて選択肢はなかった。」
「こんな仕事しててさ、人気商売だし、アイドルだし。女性の人気が多いのはありがたいけど仕方ないことなんだ。」
それはそうだ。元はと言えば、私だってそのアイドルの涼太くんを好きになった1人なわけだし。
「でも俺は今の時間も諦めたくないんだ。」
そこで少し、言葉を詰まらせた涼太くん。
「また付き合ったばっかりでこんなこと言うの、変だって思われるかもしれないけど。」