出会った彼は

「前は俺の家から仕事だって行ってたじゃん。」

「わかったよ。泊まるから。」

私が諦めてそう言うと、それも面白くなかったらしい涼太くん。


「芽依ちゃん、いつ引っ越してくる?」

「えぇ…。退去の色々とかあるからそんなにすぐには…。」

「俺んち住むのはすぐできるよね?物もあるし。」

「まあそうだけど。」


かつてこんなに強引だったことはあっただろうか?

「じゃあもうこっちに住んで。はいこれ、鍵ね。」

私の手にこの家の鍵をしっかりと握らせる涼太くん。


「何でそんなに急ぐの?」

「また俺のせいで、芽依ちゃん傷つけたりしたくないし。何かあった時は側に居たいし、さっき言ったけど離れたくないから。」

なんだか、そう言って私をじっと見つめる彼がだんだんかわいく見えてくる。


「わかったよ。荷物は少しずつ運ぶね。」

「うん!いつでもいいよ!」
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