出会った彼は

「わかる。俺自分の子とか溺愛しそう。」

「隆也さんは溺愛しそう。笑」

笑い合いながら話をしていると


「まあ俺は、子どもなんて夢のまた夢かな。」

少し遠くを見て話す。

「え?なんで?モテそうだけど。」

思ったことを口にしただけだったけど、少し寂しそうな表情の隆也さんが見えた。

「そんなことないよ。いい歳して、過去の恋愛引きずってるし。」

苦笑いしながらそう答える隆也さん。


「そうなの?」

「うん、高校の頃付き合ってた子がいたんだよね。俺進学でこっち出てきて、若かったのもあってか遠距離も上手くいかなくてさ。自然消滅ってやつ?」

「そうだったんだ…。」

「上手くいくって思ってたけど全然で。彼女地元に戻ってたから友だちづてに話は聞いてたんだけどさ。俺もこっちで付き合った子とかいなかったわけじゃないけど、彼女は越えられなかった。」


私の瞳に、悲しそうな表情の隆也さんが鮮明に映る。
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