出会った彼は

「それ以降、連絡って取ってないの?」

「うん、取ってない。迷惑かもって考えると送信ボタン一つ押すだけなのにできなくて。」
「だから浩介と美沙ちゃん見てると、幸せそうでいいなって思う。」

ポツリポツリと話してくれた隆也さん。


「もしかしたら、彼女は連絡待ってるかもしれないよ。」

「え?ないない。」

「だって隆也さん、いい人だし。私には世話焼きなお兄さんにしか見えないけど。」

隆也さんとメッセージでやりとりしたり、食事をしたりしていても懐の深い人だなという印象が大きかった。


「私も、そうなればいいって思ってもなかなか自分からは言い出せなかったりするけど。相手も同じことを思ってくれていたら、素直になれることもあると思う。」


つい数時間前の涼太くんとのことを思い出して、そう伝える。

「そういうもんかな。」

「そういうもんだよ。それにほら、当たって砕けろとか言うじゃん?」


すると隆也さんは、ははっと笑いながら

「確かにそうかも。なんか勇気出た。連絡してみようかな。」

「絶対それがいい。」
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