出会った彼は
何でわかってくれないのといった様子で、こちらを見つめる涼太くん。
この手の話は長くなりそうだな。
私はカバンの中をごそごそと漁り、お目当てのものを掴む。
「ねえ、聞いてる?芽依ちゃ―――」
「はいこれ、お土産。」
さっきテーマパークで買ったキーホルダーを、涼太くんの手に乗せる。
「え?これ俺にくれるの?」
さっきまでぷりぷりと訳の分からないことで怒っていた涼太くんだけど、キーホルダーを見ると目をキラキラと輝かせている。
「うん、涼太くんにプレゼントしたくて買ってきた。」
「嬉しい!すぐつける!」
さっきまでの態度はどこへやら。鼻歌を歌いながら、自分のカギにキーホルダーをつけている。
本当に、こういうところは子どもみたい…。
そこからはいつも通りに戻った涼太くんと他愛もない会話をする。
これからツアーの準備で忙しくなるらしい涼太くん。
「次いつ会えるかわかんない。寂しい。」