日常を返せ!
「普通は両親に連絡を取るなり、他の知人に助けを求めるんじゃないのか? わたしだったら、貴女を部屋に来るよう言わないな」

「どうしてです?」

 犬飼刑事の含みのある言い方にわたしは苛立ちながらも尋ねる。

「まず彼女は玉木が殺されたことで怯えたそうだが、彼だけの死が彼女を不安にさせたことじゃないよな?」

「……わたしたちを監禁した仮面の男と同じ様に殺されたことと、いまだに殺された拳銃が見つからないことで怯えてました」

「彼女は二つの事件が繋がっていると思っていた。それなのに、その事件に関わりのある貴女をアパートに招くのは怪しくないか?」

「ちょっと、犬飼さん!」

 犬飼刑事の推測が悪い方向に行っていると思ったのか、飛口刑事が慌てて止める。

 だけど、そこまで言えば頭の悪いわたしでも自分が犯人扱いされていると理解出来る。

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