日常を返せ!
「羽間の頭にもあった……」

「あの、いったい何があったんですか?」

「そこに縫合された痕があるの。羽間はその辺りで手術した事はある?」

「いいえ。今まで縫うほどの怪我をしたことはありません」

「だよね。わたしも同じところにあるの、ほら」

 そう言って今度はわたしの髪に隠れていた手術痕を羽間に見せる。

「え、これ何なんですか?」

「心当たりは一つしかないよね」

「あのデスゲームの時に何かされたってことですか?」

「おそらく。誰も気付いてないけど、他の人たちも同じような痕があるかも」

「最近変に頭痛が起きていたのは、これのせいだったんですね」

 羽間は傷痕を撫でて困惑している。

「わたしもこの前市外に買い物に行こうとしたら、頭痛で体調崩したんだよ。本当最悪だった」

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