日常を返せ!
「まさかこれが爆発する、とか?」

「何かの合図で首輪に内蔵されていた毒が、首筋に注入されて殺されるって展開、映画で見たことあるな」

 田山が戸惑いながら口にすると、中川がぶっきらぼうに付け加える。

 意識がない内に用途の分からない機械を付けられ、いきなり知らない場所に連れている状態に恐怖しかない。

 ぶるり、と体が震えるが、それを他の人に知られたくないので、震えを隠すように両手で体を抱きしめる。

「とりあえず、何かあるか見てみないか? 何か手掛かりがあるかもしれねぇし」

「さっすが、星矢! わたしも星矢の意見に賛成〜」

 確かにわたしと羽間で先に全員を起こしていたので、まだ部屋自体を何も調べていない。

「そうね。このまま何もしない訳にもいかないし、この部屋で待ってるだけは時間の無駄ね」

「手分けして探しますか?」

「とりあえず各々がテキトーに探せばいいんじゃない? 何かあれば声を出せばいいし」

 わたしの言葉に納得したのか、全員が辺りを見回したり移動を始める。

< 15 / 296 >

この作品をシェア

pagetop