日常を返せ!

学校からの脱出

「逃げるよ、明良!」

 そう言ってあかねがわたしを引っぱって、教室から出ようとする。

 あかねにつられてわたしも出て行くと、後に桃花がついてきた。

 廊下に出ると、下から悲鳴が聞こえて三人で顔を見合わせる。

 一階にいる中川が何かしているに違いない。

「とりあえず、一階まで降りて玄関から逃げよう」

「そうだね。鉢合わせしないように気をつけないとね」

 二人で相談しながら、悲鳴が聞こえた場所から遠い校舎の端にある階段まで辿り着く。

「先にわたしが様子を見に行くね」

「わたしは他の場所から奴が上がっていないか見張っているね」

 あかねがわたしの腕を離して、身を屈めた状態で階段を一段ずつ降りて行く。

 桃香はあかねの姿と廊下を交互に見ながら固唾を飲んでいる。

 あかねが踊り場まで辿り着き、手すりから顔を出して下の様子を窺った。

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