日常を返せ!
 羽間の提案にわたしは困惑する。

 玄関から出るには廊下を通らなくてはいけない。

そうすれば確実に中川にわたしたちの存在がバレてしまう。

「出るって、今廊下に中川はいるから無理だよ」

「わざわざ玄関から出なくてもいいでしょう?」

 そう言って羽間は近くの窓を開錠して開ける。

 羽間は開いた窓に足を掛けてそのまま外に飛び出した。

「え、羽間⁉︎」

「新田さんも早く! 中川さんに気づかれないうちに」

 わたしは廊下の中川を気にしつつ、窓から外に飛び出す。

 その後に続けてあかねと桃香も窓から脱出した。

「裏門から出ましょうか」

「出るのはいいけど、この後どうするの?」

「植本くんと合流して相談しましょう。恐らく、植本くんもターゲットにされているはずです」

「そうだね」

 羽間はスマホで植本に連絡をしている。

 わたしはその間に周囲を伺うと、遠くから救急車の音が聞こえた。

 先生が刺されたことで誰かが呼んだんだろう。

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