日常を返せ！
「お前がルリカを殺したのか？　どうしてだよ、ルリカを『復讐者』だと思ったのか？」

「いいえ。彼女は『一般人』だと思って殺しました」

「は？　何でだよ！」

「そんなの、決まっています。生き残りの数が多ければ僕の取り分が少なくなるからです」

「取り分って、賞金のことか⁉︎　貰えるかも怪しい金の為にルリカを殺したのか⁉︎」

「ええ、僕は賞金が欲しかったので」

「ふざけるなよ。そんな理由でルリカを殺したのか？　今すぐ殺してやる！」

　中川は握りしめたままのナイフを振り上げて、そのまま植本の顔に振り下ろした。

　が、それは当たる寸前でぴたりと止まり、動かない。

「あ、え……？」

　中川は何かに気付いたのか、視線を自分の腹部に向ける。

　腹部には十徳ナイフの柄が生えている。

　それは植本が護身用にと買っていた十徳ナイフだ。

　植本は上半身を起こして、動揺している中川の身体を突き飛ばした。

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