日常を返せ!
 仮面の男が玉木を無理矢理立たせて、先程仮面の男が出てきた扉に入って行く。

 しばらくすると、
「こっちに来い!」と仮面の男が大声で叫ぶ。

 わたしたちは仮面の男の指示通り扉をくぐると、長い通路に八つの扉が並んでいた。

 扉は全て空いており、わたしは近くの部屋を覗き込んだ。

 部屋はビジネスホテルのような個室になっていた。

 シングルベッドに机と椅子、テレビが備え付けられている。

「おい、さっさと入れ!」

 仮面の男の言葉に驚いたわたしは、見ていた部屋に足を踏み入れてしまった。

 すると、空いていた扉が勝手に閉まり、ピーッという機械音が響いて施錠音が鳴った。

「え、嘘⁉︎」

 わたしは慌てて扉のノブに手を掛けるが、ガチャガチャと音を立てるだけで開かない。

「ちょっと、誰か開けてよ‼︎」

 わたしは扉を何度も叩いて抗議するが、返事はなかった。

 しかも防音設備がされているのか、扉に耳を当てても外の音が一切聞こえない。

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