日常を返せ!

反撃

 正面から逃げることは出来ないので、後ろの駅に踵を返して走り出した。

 羽間を置いておくことは出来ず、腕を掴んだままにしていた。

「新田さん、どこへ行くんですか!」

「分からない。でもどうにかしないと……」

「どうにかするって、早くしないとわたしたち植本さんに殺されますよ!」

 中川からナイフを抜いた植本が、ゆっくりとわたしたちの後を追い掛ける。

 武器も力も無いわたしたちを嘲笑うかのように、ご機嫌に鼻歌をしている。

 そんな植本の様子に羽間は全身を震わせて、わたしにしがみつく。

 わたしは何かないか周囲を見回すと、駅の電子盤のアナウンスが目についた。

 行き先と発車時間が表示されていて、あと数分で発車する電車を見つけた。

「羽間、また苦しむけど我慢してね」

「え? ちょっと!」

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