日常を返せ!
 扉から出るのを諦めたわたしは一歩後退りをすると、扉に電子パネルが付いていて、時間らしき数字が表示されていることに気付いた。

 それはマラソンに使っているようなデジタル時計みたいで、数が減っていることからタイマーの役割りをしているようだ。

「これがゼロにならないと、開かないってこと?」

 時間になるまで部屋から出られないと予想したわたしは、腹いせに扉を蹴ってから部屋の中に視線を移した。

 パッと見た感じ、安いビジネスホテルのような造りをしているが、この部屋にもさっきの部屋と同じように窓はどこにも見当たらない。

 その代わり、タイマー付き扉とは反対側に扉が一つ見える。

 他にはテレビにシングルベッド、備え付けの机に一脚の椅子が付いている。

 何かこの建物に関する手掛かりがないかテレビの側にあったリモコンを手にして、テレビの電源を入れようとするが反応はない。

 リモコンの蓋を開けたけど、電池があったので、電池切れかテレビが故障しているのかも。

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