日常を返せ！

羽間の回想①

　これは数年前、わたしが中学三年の時の話です。

　その頃は高校受験の真っ最中で、希望の高校の推薦を取る為に必死に勉強をしていました。

　あの日も勉強に必要なボールペンを買う為に、近所の本屋に行きました。

　すぐに目当ての文房具を見つけて手に取ろうとしましたが、ちょうど横を通り過ぎようとした人にわたしの持っていた鞄が当たってしまいました。

「す、すみません」

「チッ、気をつけてよね」

　わたしが鞄を抱えて謝ると、鞄にぶつかった人は舌打ちをして睨んでいました。

　その睨みが怖くてわたしは目当てのボールペンを手に取ってカウンターに急ぎ足へ行こうとしました。

　まだわたしを睨む人の視線を逃れたくて走って行くが、途中のマンガコーナーで足を止めてしまいました。

　その人はマンガコーナーで不審な動きをしている男子生徒で、この市内の中学の制服を着ていました。

　男子生徒周囲をキョロキョロと見回し、片手には新刊のマンガを持っていました。

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