日常を返せ!
 ガタイの良い男は嫌な事があると体育館裏にわたしを呼び出し、ストレス発散として殴る蹴るの暴力を振るいました。

 体育館裏には人気がないのと、ガタイの良い男が問題児として有名なのもあり、わたしの暴力に気付いても見て見ぬふりをしていたのかもしれません。

 そしてなるべくバレないようにか、腹部や背中など服で隠れる場所に拳や脚を当ててきました。

 見えない場所には青あざだらけになりました。

 暴力を受けてボロボロになったわたしの隣でもう一人の男はわたしの鞄を漁り、金目になるものを探していました。

「なんだ、三千円しか入ってないのか」

 わたしの財布からお札を抜き取って大きなため息をついていました。

「次は多めに用意しとけよ。それこそ万引きしてでもな」

「その時はバレないように気をつけろよ」

 男たちの言葉にわたしは唇を噛み締めて黙って堪えるしかできませんでした。

 男たちは中学校を卒業して別々の高校に通っていても催促は止まりませんでした。

 わたしの高校に待ち伏せをして、誰もいない場所に連れて行くと暴力と恐喝をしました。

< 253 / 296 >

この作品をシェア

pagetop