日常を返せ!

羽間の回想④

「こんにちは、羽間優様。いえ、正確には『白井優様』ですね」

「……何の用ですか」

 わたしは前の名前を呼ぶ男を睨みました。

 この男も写真か動画で偽の悪事を知り、わたしを懲らしめようとしたのかと考えたからです。

 ようやく楽になれるのに邪魔をされて腹を立てていたこともあります。

「そんな恐い顔をしないでください。わたくしは羽間様にお願いしに来たのです」

「お願い?」

「貴女に罪をなすり付けた奴らに復讐をしませんか?」

「え?」

 男の言葉に目を見開きました。

 今までわたしを悪人だと言う人しかいませんでしたが、冤罪だと言った人が初めてだったからです。

「わたくしたちが独自で調べたところ、貴女は万引きした人を止めようとしたのに、万引き犯に仕立てられたんですよね?」

「そうです」

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