日常を返せ!
 しかし、その後で植本が突っかかってきたんです。

「聞いてないですよ、頭に何かを仕込まれていたなんて」

「わたしも昨日知ったばかりだから、言うタイミングがありませんでした」

「では、何の条件で作動するのか教えてください」

「……普通に生活していれば、問題ありません」

「いいから、教えろ!」

 頭に仕組まれた物が恐いのか、わたしの胸ぐらを掴んで脅してきます。

 怯えているのが見え見えなので、笑いながら答えました。

「言わなかったらどうするんです? わたしを『復讐者』だと二人に伝えて、三人がかりで殺しますか?」

「それは……」

「折角、『一般人』を二人殺して賞金の取り分が増えたのに、三等分で満足するんですか?」

 言い淀む植本にわたしが追い打ちのように続けると、舌打ちをして離しました。

「……中川と新田を殺したら、お前を殺すからな」

「恐いですね。気をつけます」

< 268 / 296 >

この作品をシェア

pagetop