日常を返せ!
 しかし、その輪の中にベッドのシーツを裂いて使ったのか、応急処置をしている玉木の姿がある。

 じゃあ、いったい誰が怪我をしているの?

 わたしは原因を知る為にみんなの輪の中に入って覗き込んだ。

 そこには仮面の男が頭を撃ち抜かれて死んでいた。

 発砲の衝撃で仮面の一部が破損しており、そこから見える顔は思ったより幼く、わたしたちと同じくらいの年齢に見える。

 男の目は驚いた表情をしていて、カッと目を見開いていた。

「ひっ! な、何で?」

「知らない。扉が開くようになって、ここに来たらもう死んでいた」

 わたしの問いに田山が淡々と告げる。

「どうするんだよ! こいつが死んだら、俺たちはどうやってここから出られるんだよ!」

「玉木さん、落ち着いてください。とりあえず、この方が何を持っているか調べてみませんか? もしかしたら出口の鍵があるかもしれませんし」

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