日常を返せ!
「僕、このアプリをダウンロードしてから、欠かさずデスゲームを視聴していたんですよ。デスゲームの運営が上手くいくように、大型イベントがあるたびに課金をしていたら、重課金ユーザーとなっていました」

 飛口刑事は聞いてもいないのに、まるで自分の功績かのようにデスゲームの関わりを話し始めた。

「そんな僕を運営が目を付けて、今回のデスゲーム会場に僕が住んでいる市へ指定されたんです! あの時は本当に嬉しかったなぁ。まさか実際にデスゲームをこの目で見ることが出来るなんて、夢にもおもいませんでしたから」

 飛口刑事はスマホを頬ずりしながら、うっとりした表情をしていて、自分とは価値観の合わない人間に虫唾が走った。

「どこも見どころ満載でしたが、犬飼刑事がデスゲームの邪魔をしそうになって、僕が処分した時の新田さんの絶望顔は高視聴率でしたね」

「待って、犬飼刑事を殺したのって……」

「はい、僕ですよ」

 飛口刑事の言葉を聞き返そうとすると、悪びれもなく自分を指差した。

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