日常を返せ!
「それなら、反対側も歩いて車を探した方が早いわよね。新田さん、一緒に探しましょう」

「え、ええ。そうね」

 中川たちを見送っていた田山がわたしに声を掛けてきた。

 確かに助けを呼ぶのが最優先の状況なので、断る理由がないわたしは頷いた。

「では、僕と羽間さんで玉木さんの様子を見ています」

「そうですね。やっぱり玉木さんを放っておけませんから。追手が来たら、わたしたちも茂みに隠れたら良い話ですしね」

「……勝手にしろ」

 玉木はため息をつきながらそっぽを向く。

「じゃあ、行ってくるね」

「三人共、気を付けて」

「はい、田山さんと新田さんもお気をつけて」

 植本の言葉を背にして中川たちとは反対の方へ歩き出した。

 山に向かって伸びている国道は上りとなっていて、下りを選んだ中川たちに軽い殺意を覚えながら、歩いて行く。

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