日常を返せ!
「……わたしたち、助かるのかしら」

「助かるでしょう。早く車を見つけて、皆を安心させよう」

 唐突に呟いた田山の言葉に、根拠はないけど肯定した。

 そうしないと、田山の不安がこっちにも移りそうだったから。

「そうよね、それか中川たちが見つけている場合があるものね」

 わたしの言葉に安心したのか、強張っていた田山の表情が少し柔らかくなった。

 調子が良くなった田山から国道へ視線を移すと、遠くの道から何かが動いている。

 ゆっくりとだが徐々にこちらに向かっているのが大型トラックだと分かった途端、わたしたちは車道の真ん中に飛び出して両手を振りながら叫んだ。

「止まってください‼︎」
「お願い、止まって‼︎」

 こんな人気のない場所にいるわたしたちを不審に思ったのか、大型トラックは少し離れた場所で停止した。

 わたしたちは大型トラックに走り寄り、運転手側のドアに向かうと、窓を少し開いて一人の男性が顔を出した。

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