日常を返せ!
 わたしたちが羽間を見逃さないように目を凝らしていると、トラックに気付いたのか、羽間が手を振ってトラックを止めようとしている。

「あそこに怪我人がいます」

「分かった。ちょっと待ってろ」

 わたしが羽間を指差すと、運転手は羽間の側で停止し、運転席から飛び出した。

 わたしたちも一緒に降りて羽間の側に駆け寄った。

「怪我人がいるって聞いたが、どこだ?」

「はい、こちらです」

 運転手の問いに羽間が茂みを掻き分けると、木の幹に寄りかかっている玉木と世話をしている植本、その横でぐったりとしている石井の姿があった。

 石井の横で中川が手を握り、辛そうな顔をしている。

「え、何で石井が倒れているの? まさか追手が来たとか?」

 石井も倒れていることに、まさか仮面の男の仲間が襲ったのかと、血の気が引いた。

「新田さん、大丈夫。追手はいないから」

 青ざめたわたしに植本が優しい声で落ち着かせる。

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