日常を返せ!
 クラス委員の黒井を筆頭に、お調子者の多田が興味本位に聞いていてくる。

 さらにいつもは業務連絡しか話さない渡利も鼻息荒く聞いてくるので、思わずたじろぐ。

「え、あの」

「ほらほら、どいた。明良を席に座らせるよ」

「明良、こっちから行こう」

 どう返答するか迷うわたしに、しっしっと手で払い除けるジェスチャーをしてクラスの人たちをあかねが追い払う。

 その隙に桃香がわたしの手を引っ張って席に連れて行ってくれた。

 ようやく自分の席に着いたわたしは、机に身体を預けてぐったりした。

 それでもクラスメイトたちの視線がこれでもかと突き刺さってくるし、ヒソヒソとわたしに関する噂話をしている。

 外にいる時と何も変わらない。

 ……これがしばらく続くのかと思うと、頭が痛くなる。

 わたしはスマホを操作して羽間たちのグループチャットを開いて、愚痴ることにした。

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