日常を返せ!
「辛かったら、明日も無理して学校に来なくていいからね。あんな事件に巻き込まれたのだもの。心身共に疲れているはずよ」

「そうだ。事件のことで嫌な思いをすれば、すぐに先生たちに知らせてくれ。出来る限りのサポートをするからな」

「……ありがとうございます」

 羽間が溜めていた涙を一筋流して、先生たちに頭を下げた。

 わたしも羽間にならって頭を下げると、佐藤先生の優しい声がかけられる。

「ほら、頭を上げて早く家に帰りなさい。ゆっくり休むのよ」

「はい、失礼しました」

 そう言って羽間は再度礼をしてから職員室を後にし、わたしもその後を追いかけた。

 羽間は持っていたハンカチで涙を拭くと、一息ついてからわたしに向き直った。

「さて、カバンを取りに教室に行きましょうか。先にわたしから取りに行きますね」

「……羽間って、演劇部でも入っていた?」

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