日常を返せ!

仮面の男の正体

「あの、知っていますか? 僕たちを誘拐した仮面の男の情報がSNSに載っているんですよ」

 植本はそう言って自分のスマホを差し出した。

 わたしたちはスマホを見ると、あの事件の犯人の顔写真と個人情報、犯行理由が書かれていた。

「えっと、名前は神崎緑。彼の実家を家宅調査したところ、スマホやパソコン履歴から、動画配信で有名になりたいことが分かった。今回の事件を配信することで、自分の承認欲求を満たすことにしたらしい」

 スマホに書かれている記事を田山が読み上げていくと、ガシャンッと何かが割れる音がし、全員がそちらへ一斉に視線を向ける。

 それは玉木が持っていた自身のグラスを床に落として割ってしまっていた。

「悪い、手が滑った」

「大丈夫ですか? 怪我はしてないようですね」

「わ、ズボンが濡れてるじゃん。これで拭いて綺麗にしたら?」

 植本が玉木の心配をし、グラスを落としたことで中身がズボンにかかって濡れたことに気付いた石井が、用意されていたおしぼりを差し出した。

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