日常を返せ!
「玉木は動くなよ。足元が破片だらけなんだから」

「すみません。グラスを割ってしまったのですが、代わりを持って来ていただけませんか?」

 中川は玉木に動かないように伝え、羽間は受話器から店員に連絡を取っている。

 わたしと田山は机にこぼれた液体を、残りのおしぼりで拭き取っていく。

 あらかた机が綺麗になった頃、店員が玉木の代わりの飲み物と箒とちりとりを持って現れた。

 すぐに店員が割れたグラスを片付けて、退室すると、わたしたちは再び話題をあの仮面の男に移した。

「そういえばさっきの話の続きだけど、完全に向こうの勝手じゃん!」

「本当、あり得ない。自分が有名になりたいからって、人を殺そうとするなんて頭おかしいんじゃないの?」

「俺たちを選んだ理由は分からないままだから、気味が悪いよな」

「そうですね。僕たち、共通点と言ったら高校生ってだけですし、他に共通点らしいものはないですよね」

「承認欲求を満たしたいだけみたいだし、誰でも良かったんじゃないの? こっちの人生を何だと思っているのよ!」

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