ウソは、お昼まで。



唯一、あいつが私に好きだ、っていうのはエープリルフールの朝

始まりは、中学生になって初めて迎えた、4月1日のこと



「さつきー、俺さつきのこと好きだからね」

「は?」

「んふ、エープリルフール」

「・・最悪じゃん、こっちからお断りだよ」

「ひどーい、」

「悪質なウソは女子から嫌われますよ、幸太さん」

「ごめんなさーい」



ほんの一瞬でも嬉しくなってしまった自分が恥ずかしくて

なんとも言えない気持ちになったのを覚えている

こんなに好きなのに、あいつの眼中にはないんだなーって思ったら悲しくなって

でも一年にたった一回だけでも言われるなら嬉しいな、とも思って早5年

でも、もう終わり。



「さつきー、すきだよー」

「はいはい、もうそれも恒例行事だね」

「あんまりキュンとしてないじゃーん」

「そりゃしないよ?!」



「おはよー、好きだよ」

「スピード好きだよ!笑」

「だってもう11時過ぎてるじゃん!」

「えなんで時間?」

「知らないの?
 エープリルフールって、午前中に嘘ついて午後にネタバレするらしいよ」

「えー、そうなんだ」




「今年もやって参りました4月1日」

「毎年どうもご苦労さまです」

「さつき、すきだよ」

「ちょっとキザな感じやめて笑」

「今年はテイストを変えてみました笑」

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