クズ吸血鬼を拾ったら



数秒後、画面に映る、WINの文字。

……すご。勝ってる。

基本対人戦で、初心者が勝てるゲームじゃないのに。

それに、何の自慢にもならないが私はゲーム内ランクが高く、マッチングする対戦相手も同じくらいのレベルのはずだ。


「ランク高いねー、サキちゃん。俺も好きなの、このゲーム」

「へっ、そ、そうなんだ……え? なんで名前……」

「アカウント名。本名? これ」


……そうだ、ゲームのアカウント名、SAKIだった。


「そうです……(さき)です」

「りょーかい。俺、(くが)。よろしくねー」


……よろしくって。

できれば今すぐバイバイしたいんですけど?


「あとで一緒にやろーよ、ゲーム。俺も自分の持ってくるし」


バイバイするどころか、また来る気じゃん。

よく見たら勝手に、私の弟が置いてった服着てるし。


「や、やりません!」

「えー、つれないなぁ。てか咲ちゃんさぁ、男いんの?」

「お、男って、彼氏? ……だったら、いませんけど……」


生まれてこの方いたことない。


「へー、じゃあ安心だ」

「……どういう意味?」

「男いるのに手ぇ出すと、痛い目見るでしょ。だから嫌なんだよねー。でも咲ちゃんに彼氏いないなら安心!」


……出したことがあるかのような口ぶりだ。

というか、私にも手を出すつもりってこと?

ーーいや、もう出されたと言っても過言ではないか。


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