クズ吸血鬼を拾ったら
◇
なんとか間に合った授業を終え、構内を歩く。
窓ガラスに反射した自分の姿は、とにかくもう、ぐっちゃぐちゃのぼっさぼさ。
……こんなんだから彼氏できないんだよなぁ、ゲーマーだし。
知り合いに遭遇しないことを願っていたが、神はいないとすぐに思い知らされた。
「あっ! 咲さん!」
「え……」
誰、と言いかけて、のみこんだ。
……昨日の合コンでいた気がする。
好青年といった雰囲気のーー確か名前は、羽鳥くん。
嫌いなタイプじゃなかったけれど、羽鳥くんがあまりに爽やかすぎて全然話せなかったんだ。
「これから帰るの? 時間あったら一緒にごはんでもどう?」
「えぇー、いや、あはは……」
お誘いはうれしいけど、今じゃない。
だって見てよ、ぐちゃぐちゃじゃん、私。
ーーいややっぱり、そんなキラキラの目で見ないで。
「昨日もっと話したかったのに、咲さんいつの間にか帰っちゃっててびっくりしたよ」
「あー、ごめんね、ちょっと用事があったの……」
……どうしよう。
とにかく今は話したくないしすぐ帰りたいのに。
「えっと、それじゃ、またーー」
「えっ、待って!」
羽鳥くんに、腕を掴まれた。