クズ吸血鬼を拾ったら




なんとか間に合った授業を終え、構内を歩く。

窓ガラスに反射した自分の姿は、とにかくもう、ぐっちゃぐちゃのぼっさぼさ。

……こんなんだから彼氏できないんだよなぁ、ゲーマーだし。

知り合いに遭遇しないことを願っていたが、神はいないとすぐに思い知らされた。


「あっ! 咲さん!」

「え……」


誰、と言いかけて、のみこんだ。

……昨日の合コンでいた気がする。

好青年といった雰囲気のーー確か名前は、羽鳥(はとり)くん。

嫌いなタイプじゃなかったけれど、羽鳥くんがあまりに爽やかすぎて全然話せなかったんだ。


「これから帰るの? 時間あったら一緒にごはんでもどう?」

「えぇー、いや、あはは……」


お誘いはうれしいけど、今じゃない。

だって見てよ、ぐちゃぐちゃじゃん、私。

ーーいややっぱり、そんなキラキラの目で見ないで。


「昨日もっと話したかったのに、咲さんいつの間にか帰っちゃっててびっくりしたよ」

「あー、ごめんね、ちょっと用事があったの……」


……どうしよう。

とにかく今は話したくないしすぐ帰りたいのに。


「えっと、それじゃ、またーー」

「えっ、待って!」


羽鳥くんに、腕を掴まれた。


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