クズ吸血鬼を拾ったら
◇
「……それで、なんでまた家にいるの」
「俺の方が足長いし、近道知ってるし?」
アパートに帰ると、どういうわけか陸さんが部屋の中でくつろいでいた。
勝手に私の集めた漫画を読んでいる。
「いいかげん、警察呼びますよ?」
「いいよ、呼んでも。そしたらこれ飲んじゃうけど」
「……お酒?」
陸さんが見せたのは、コンビニで売ってるような缶チューハイ。
「……どうぞ、飲んでください」
「あ、今、俺にお酒すすめたでしょ。いいのかなー、俺未成年なのになー」
「ーーえっ!? 年下!?」
「そだよ。俺19。咲ちゃん、俺のことお兄さんとか言ってたけど」
なんかその余裕たっぷりな感じ、絶対に年上だと思ってた。
私が幼いと言われればそれまでだけど。
……というか、つまり、警察を呼べば、成人である私にすすめられて、未成年の陸さんーー改め陸くんが飲酒をしたことにするって、脅されてる?
「ずるい……」
「はは、ありがとう。それ褒め言葉」
全然、褒めてない。
……なんかもう、いいか、とりあえず放っとけば。
またなにかされそうになったら、今度こそ逃げよう。
ーーいや、追い出そう。