クズ吸血鬼を拾ったら




「……それで、なんでまた家にいるの」

「俺の方が足長いし、近道知ってるし?」


アパートに帰ると、どういうわけか陸さんが部屋の中でくつろいでいた。

勝手に私の集めた漫画を読んでいる。


「いいかげん、警察呼びますよ?」

「いいよ、呼んでも。そしたらこれ飲んじゃうけど」

「……お酒?」


陸さんが見せたのは、コンビニで売ってるような缶チューハイ。


「……どうぞ、飲んでください」

「あ、今、俺にお酒すすめたでしょ。いいのかなー、俺未成年なのになー」

「ーーえっ!? 年下!?」

「そだよ。俺19。咲ちゃん、俺のことお兄さんとか言ってたけど」


なんかその余裕たっぷりな感じ、絶対に年上だと思ってた。

私が幼いと言われればそれまでだけど。

……というか、つまり、警察を呼べば、成人である私にすすめられて、未成年の陸さんーー改め陸くんが飲酒をしたことにするって、脅されてる?


「ずるい……」

「はは、ありがとう。それ褒め言葉」


全然、褒めてない。

……なんかもう、いいか、とりあえず放っとけば。

またなにかされそうになったら、今度こそ逃げよう。

ーーいや、追い出そう。


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