クズ吸血鬼を拾ったら
◇
「……ん……」
……なんだか首元がくすぐったい。
ポチ? なわけないか、ポチは実家の犬小屋にいるはずだもん。
……あれ、私、何してたんだっけ?
記憶がはっきりしない。
まどろみの中、ぼんやりと思い出そうとしてみる。
あ、そうだーー酔っぱらって、男の人に絡まれて、そこを誰かに助けてもらったんだっけ……。
確か、すごくかっこいいお兄さんだった。
「あ、起きちゃった」
そうそう、ちょうどこんな感じ。
……ん? え? あれ?
「おはよ」
ーー目の前で、昨日のお兄さんが微笑んだ。
私は、慌てて体を起こす。
見慣れた壁や天井、カーテンの柄も、私の部屋で間違いない。
カーテンの隙間からさしこむ日差し。雀の鳴き声。
私とお兄さんは、ベッドの上。
それからお兄さん、よく見たら上、裸なんだけど……?
……これ、つまり、どういうこと?
「どしたの、固まっちゃって」
「……え、あれ、お兄さん、なんでここにーー」
「んー? 君を送ってあげたんだよ?」
「えっと、それは申し訳なかったけど……あの、なんでお兄さん、服……」
お兄さんは、涼しい顔して無言で微笑む。
それに対して私は、冷や汗だらだらだ。
……今気づいたけど、私も服、脱いでるし!
上はキャミソールだけ。布団をめくって確認すると下は部屋着のショートパンツ。
着替えた記憶、全然ないんだけど!
「……もしかして昨晩、私とーーその、なんか、しちゃいました……?」