クズ吸血鬼を拾ったら




「……ん……」


……なんだか首元がくすぐったい。

ポチ? なわけないか、ポチは実家の犬小屋にいるはずだもん。

……あれ、私、何してたんだっけ?

記憶がはっきりしない。

まどろみの中、ぼんやりと思い出そうとしてみる。

あ、そうだーー酔っぱらって、男の人に絡まれて、そこを誰かに助けてもらったんだっけ……。

確か、すごくかっこいいお兄さんだった。


「あ、起きちゃった」


そうそう、ちょうどこんな感じ。

……ん? え? あれ?


「おはよ」


ーー目の前で、昨日のお兄さんが微笑んだ。

私は、慌てて体を起こす。

見慣れた壁や天井、カーテンの柄も、私の部屋で間違いない。

カーテンの隙間からさしこむ日差し。雀の鳴き声。

私とお兄さんは、ベッドの上。

それからお兄さん、よく見たら上、裸なんだけど……?

……これ、つまり、どういうこと?


「どしたの、固まっちゃって」

「……え、あれ、お兄さん、なんでここにーー」

「んー? 君を送ってあげたんだよ?」

「えっと、それは申し訳なかったけど……あの、なんでお兄さん、服……」


お兄さんは、涼しい顔して無言で微笑む。

それに対して私は、冷や汗だらだらだ。

……今気づいたけど、私も服、脱いでるし!

上はキャミソールだけ。布団をめくって確認すると下は部屋着のショートパンツ。

着替えた記憶、全然ないんだけど!


「……もしかして昨晩、私とーーその、なんか、しちゃいました……?」


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