クズ吸血鬼を拾ったら
吸血鬼に血を吸われたら、なんか大変なことになるってきいたことがある。
たしか、依存症になっちゃうとか。
「やっ、やめ……」
抵抗するも、お兄さんの力には敵わない。
……私、今、血を吸われてるんだ。
怖い。怖くてどうしようもないはずなのにーー気持ちいいなんて思ってしまうのはどうしてだろう。
……もしかしてこの感覚が、依存症への第一歩なのでは?
だとしたら、ダメだ。呑まれちゃいけない。
いけないのにーー頭がちかちかするみたいな、小さな快感の波に抗えない。
我慢しようと思ったら、勝手に涙と声があふれてくる。
「……ん、……んぅ……」
「……きもちーの? ちょろいね、あんた」
お兄さんは甘い声で呟いて、私を解放した。
乱れた息を必死で整える私のことを、面白がるように見つめる。
「ごちそーさまでした」
「ひ、ひどいよ、こんな……勝手に」
「でも、気持ちよかったんでしょ?」
「そういう問題じゃーーあ、あれっ……」
話が通じないお兄さんに、ついヒートアップしたときーー頭がくらくらして、めまいのようなものを感じた。