クズ吸血鬼を拾ったら
「あーあ、だいじょーぶ?」
「さ、さわらないで!」
「……貧血と二日酔いだね」
「だ、誰のせいで……」
「んー、半分は俺?」
……確かに、二日酔いは自業自得だ。
しかも昨晩お兄さんが助けてくれなかったら、どうなっていたかわからない。
とはいえ、お兄さんのことは許したくないけど。
「まぁ、そんなんで俺のこと追い出そうとしても無駄だから、とりあえず寝たら?」
それはそうだけど、無防備に寝るわけにもいかない。
ていうか、まだ出ていかないつもりなの?
「や、無理だから……出ていってください……」
「……いいから言うこと聞いとけよ。俺、全然まだいけるからさ、もっかい吸っちゃうよ?」
お兄さんの目が、赤く光る。
……こわすぎる。
思わず布団を握りしめると、お兄さんは満足そうに笑った。
「それでいーんだよ、よしよし」
まるで子どもをあやすように私の頭を撫でて、部屋を出ていこうとする。
「シャワー貸してね。……あ、逃げんなよ?」
私は、うなずくしかなかった。
基本が穏やかで優しそうなせいで、合間に感じる圧が余計に怖い。
お兄さんが部屋を出ていったあと、スマホを探すがーーない。
……隠された?
こっそり玄関に向かうが、靴が一足もない。
……絶対、隠された。
「おい」