クズ吸血鬼を拾ったら



背後から聞こえた声に振り返ると、そこには浴室に行ったはずのお兄さん。


「なにしてんの?」

「え、いや……」


やばい、見つかった。

言いよどむ私を、お兄さんはひょいと抱き上げる。


「寝てろって、言ったでしょ」


私はそのままベッドに投げ捨てられて、もう抵抗する気力もなくなった。

お兄さんは私が布団を被るのを見届けて、再び浴室に向かう。

……頭がガンガンして、気持ち悪い。

貧血なのか二日酔いなのか、お兄さんの言う通り両方なのかーーとにかくもう、ベッドから起き上がる気も起きなくて、私はそのまま目を閉じた。







ーー次に目を覚ますと、夕方だった。

寝起きでぼんやりしているものの、頭痛はもうない。

小さくなにかの音楽が聞こえて、薄暗い部屋を見回す。

するとそこには、ゲームをしているお兄さん。

……いやそれ、私のじゃん。

しかも、私のアカウントじゃん!


「ちょっと、それ……!」

「あー、待って待って、もうちょいだから」


< 9 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop