クズ吸血鬼を拾ったら
背後から聞こえた声に振り返ると、そこには浴室に行ったはずのお兄さん。
「なにしてんの?」
「え、いや……」
やばい、見つかった。
言いよどむ私を、お兄さんはひょいと抱き上げる。
「寝てろって、言ったでしょ」
私はそのままベッドに投げ捨てられて、もう抵抗する気力もなくなった。
お兄さんは私が布団を被るのを見届けて、再び浴室に向かう。
……頭がガンガンして、気持ち悪い。
貧血なのか二日酔いなのか、お兄さんの言う通り両方なのかーーとにかくもう、ベッドから起き上がる気も起きなくて、私はそのまま目を閉じた。
◇
ーー次に目を覚ますと、夕方だった。
寝起きでぼんやりしているものの、頭痛はもうない。
小さくなにかの音楽が聞こえて、薄暗い部屋を見回す。
するとそこには、ゲームをしているお兄さん。
……いやそれ、私のじゃん。
しかも、私のアカウントじゃん!
「ちょっと、それ……!」
「あー、待って待って、もうちょいだから」