サンライズ

エピローグ

朝6時。


今日もスマホは元気にアラーム音を鳴らす。私の手が無意識にスマホまで伸びる。今日も私の手は一発でアラームを止めることに成功した。うーんと伸びをして、体を起こす。まだ少し寒いけれど、これぐらいどうってことはない。温度だけではない温かさが今の私にはある。


「おはよ」


私しかいない部屋に朝の挨拶をした。1人暮らしを始めて今年で4年目。最初は1人が寂しくて始めたことだけど、今はちゃんとした意味があって挨拶をしている。


クローゼットにかけてあるカーディガンを取り、そのまま羽織った。しっかりとした足取りで洗面台まで行き、今日初めて自分の顔を見る。すっぴんの私は自分でも笑えるほど表情が明るい。この同じ毎日が幸せで、なんだか自分を褒めたくなる。けれど、そろそろ違う刺激があった方がいいのかもしれない。


顔を洗い、あとから慌てるのが嫌なのである程度のスキンケアをしておく。


それから台所へ移動し、お湯を沸かしながら私が好きなベーコンエッグを作る。いい具合に焼けたところでお皿に盛り付け、インスタントだけどコーンポタージュをマグカップに入れた。起きたばかりなのにお腹がぐうぐうなっているのは内緒だ。


机に移動してゆっくりと朝食を味わう。


食べ終え、洗い物がすんだあとは再度洗面台に移動し、丁寧に歯を磨く。最近柔らかいブラシに変えたおかげなのかすっきりするような気がする。口をゆすぎ、顔を上げたところで鏡に自分の顔が映った。


夜もちゃんとスキンケアをしているから肌の調子はばっちりだ。置いてあるポーチから化粧品を取り出し、大人っぽいメイクをする。少しだけ時間がかかるけれど早起きをしているから別に問題はない。


バッグにはパソコンが入っているから、あとは教科書だけだ。整然と並んだ書籍の中から今日の授業で使う3000円の教科書を取ってバッグにしまう。


1週間ぶりに使うその教科書は以前ほど重たいとは感じなかった。教科書をバッグに入れ、再度髪を丁寧に整えてから玄関へと向かった。外に出る前に今日の天気をスマホでチェックする。あいにくの曇り。最近は曇りが多いなと思いながら靴を履いた。そしてドアにかかっている鍵を外す。以前に那緒が直してくれたおかげでドアはとてもスムーズに開いた。


今日の予定は大学の授業後に、駅の近くにできたカフェへ那緒と文也君と行くこと。楽しみすぎてテンションが上がるのは私だけだろうか。


外に出ると、思わずまぶしくて手で目を覆った。
けれどすぐに私は手を降ろす。



ー白い雲の隙間から『太陽』がその光を放っていた。ー
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