御曹司は離婚予定の契約妻をこの手に堕とす~一途な愛で溶かされました~
「弘樹とのことも……」
目の前に置かれたグラスをじっと見つめながら、三浦さんが口にした別れた相手の話を切りだす。
「瑠衣は俺の妻になったんだ。ほかの男を名前で呼ぶのは、やめてもらおうか」
若干怒りのこもった声に驚いて、顔を上げた。
「ごめんなさい。つい、癖で」
「そいつに未練がないことは、俺もわかっているつもりだ。だが、おもしろくない」
そっけない表情でグラスを手にした葵さんを、思わず凝視する。
もしかして嫉妬しているのだろうかと考えたが、私たちは仮初の夫婦だからそんなはずはないと、慌てて否定した。
結婚したばかりの妻にほかの男の影があるなど、自身の評判に関わる問題だ。自分の無神経さに、申し訳なくなる。
「すみません。気をつけます」
「俺のために、そうしてくれ」
葵さんは、いずれ社長になる人だ。
私との結婚で、彼の足を引っ張るわけにはいかない。
それから気持ちを切り替えて、今朝の長谷川さんとのやりとりを彼に伝えた。
「葵さんのおかげで、私の印象も変わったと言われました。これほどすぐに反応があるなんて、驚いています」
些細なことかもしれないが、私にとってはうれしい出来事だった。
きっかけは葵さんだが、ここからは自分が努力をして彼女との仲を深めていきたい。
「いい傾向じゃないか。つまり俺はこれからも瑠衣を甘やかして、これまでにない姿を引きだしていけばいいんだな」
「なっ」
たしかに、彼のそんな言動が私の印象を変えたのは否定しない。
でも、さすがにそれが続くのは私の心臓がもちそうにないから遠慮したい。
目の前に置かれたグラスをじっと見つめながら、三浦さんが口にした別れた相手の話を切りだす。
「瑠衣は俺の妻になったんだ。ほかの男を名前で呼ぶのは、やめてもらおうか」
若干怒りのこもった声に驚いて、顔を上げた。
「ごめんなさい。つい、癖で」
「そいつに未練がないことは、俺もわかっているつもりだ。だが、おもしろくない」
そっけない表情でグラスを手にした葵さんを、思わず凝視する。
もしかして嫉妬しているのだろうかと考えたが、私たちは仮初の夫婦だからそんなはずはないと、慌てて否定した。
結婚したばかりの妻にほかの男の影があるなど、自身の評判に関わる問題だ。自分の無神経さに、申し訳なくなる。
「すみません。気をつけます」
「俺のために、そうしてくれ」
葵さんは、いずれ社長になる人だ。
私との結婚で、彼の足を引っ張るわけにはいかない。
それから気持ちを切り替えて、今朝の長谷川さんとのやりとりを彼に伝えた。
「葵さんのおかげで、私の印象も変わったと言われました。これほどすぐに反応があるなんて、驚いています」
些細なことかもしれないが、私にとってはうれしい出来事だった。
きっかけは葵さんだが、ここからは自分が努力をして彼女との仲を深めていきたい。
「いい傾向じゃないか。つまり俺はこれからも瑠衣を甘やかして、これまでにない姿を引きだしていけばいいんだな」
「なっ」
たしかに、彼のそんな言動が私の印象を変えたのは否定しない。
でも、さすがにそれが続くのは私の心臓がもちそうにないから遠慮したい。