御曹司は離婚予定の契約妻をこの手に堕とす~一途な愛で溶かされました~
「成瀬」
入れ替わりで、葵さんがやってきた。
「順調そうだな」
そう言って彼は、田中さんが去っていた方へ視線を向ける。
「はい。田中さんが、仕事を手助けしてくれたんです」
彼については、三浦さんの話をしたときに伝えてある。
「そうか。だが」
不自然に言葉を切った葵さんが、私の方へ身を屈める
「瑠衣が俺以外の男と仲良くするのは、本音では気に食わない」
耳もとでそんなふうに言われて、ドキリとする。
視線を不自然に泳がせた私を見て、葵さんは満足そうな顔をした。
「そ、それで、総務課にはどうして?」
慌てて話を切り替えると、彼は「部長と約束がある」と言って課内へ入っていった。
「あっ、小早川さん。どうかされましたか!」
いつも通り、葵さんの登場に目ざとく気づいた三浦さんが立ち上がる。
「君に用はない」
彼女に対する葵さんの態度は、まさしく取り付く島もないという感じだ。
その様子をなんとなく見ていた私に、三浦さんが睨むような視線を向けてくる。これでまた、彼女の中で私に対する敵意が大きくなったのかと内心でため息をついた。
「こら、三浦さん。さっき課長から指示された仕事は、もう終わっているのかしら」
緊張を打ち破るように、明るい声が響く。
声の主は、入社八年目になる女性社員だ。ここのところ三浦さんに頻繁に声をかけている姿を見かけるが、おそらく正式に彼女の指導をまかされているのだろう。
明るい性格の人で、彼女にかかれば叱責も深刻には聞こえない。けれどしっかりと釘はさせていると、密かにむくれた顔をしながらもパソコンに向かった三浦さんの反応からうかがえた。
入れ替わりで、葵さんがやってきた。
「順調そうだな」
そう言って彼は、田中さんが去っていた方へ視線を向ける。
「はい。田中さんが、仕事を手助けしてくれたんです」
彼については、三浦さんの話をしたときに伝えてある。
「そうか。だが」
不自然に言葉を切った葵さんが、私の方へ身を屈める
「瑠衣が俺以外の男と仲良くするのは、本音では気に食わない」
耳もとでそんなふうに言われて、ドキリとする。
視線を不自然に泳がせた私を見て、葵さんは満足そうな顔をした。
「そ、それで、総務課にはどうして?」
慌てて話を切り替えると、彼は「部長と約束がある」と言って課内へ入っていった。
「あっ、小早川さん。どうかされましたか!」
いつも通り、葵さんの登場に目ざとく気づいた三浦さんが立ち上がる。
「君に用はない」
彼女に対する葵さんの態度は、まさしく取り付く島もないという感じだ。
その様子をなんとなく見ていた私に、三浦さんが睨むような視線を向けてくる。これでまた、彼女の中で私に対する敵意が大きくなったのかと内心でため息をついた。
「こら、三浦さん。さっき課長から指示された仕事は、もう終わっているのかしら」
緊張を打ち破るように、明るい声が響く。
声の主は、入社八年目になる女性社員だ。ここのところ三浦さんに頻繁に声をかけている姿を見かけるが、おそらく正式に彼女の指導をまかされているのだろう。
明るい性格の人で、彼女にかかれば叱責も深刻には聞こえない。けれどしっかりと釘はさせていると、密かにむくれた顔をしながらもパソコンに向かった三浦さんの反応からうかがえた。